エリート投手達の、キネマティックシーケンスの比較

過去30年間に私達が学んだことの1つは、エリートアスリートの間には、すべてのプレーヤーの成功を保証する「スタイル」や「特徴」が無い事です。オールスターチーム又はHOF(スポーツなどの専門分野で優秀な成績を残した偉人)クラスの名簿を上か下に見ていけば、ゲームで最も成功している選手の中から、さまざまなメカニズムを見つけることが出来ます。


私たちは、投球法や打撃法が一つではなく、無限にあると信じています。しかしながら、選手一人一人に合った効果的な投球法や打撃法があると確信しており、それは身体上(身体が出来る事)に基づいている。


では、効率とは何でしょうか。

私たちは3つの主要な決定要因があると考えています:


1. 最小限の労力で最大のパワーを生み出す能力。

⇒ パワーの源を適切に使用していない場合、それは効率的ではありません。


2. 繰り返し行う事が可能。

⇒ 動きの再現ができない場合、それは効率的ではありません。


3. ボールがどこに行くのかを知っている。

⇒ ホームプレート上でボールをバットのバレルに当てる事ができなければ、それは効率的ではありません。(投球の場合は狙った所に投げる事)


効率を評価するための良い方法の1つは、キネマテックシーケンスです。


これは、最近TPIを訪れたエリートピッチャーの運動シーケンスの例です。打撃とは詳細が異なりますが、全体的な考え方は変わりません。

これは最も効率的な打者と投手のための、速度またはエネルギー生成の同一シーケンスの例です。


身体の各セグメントは、前のセグメントに基づいて構築され、チェーンの速度を上げます(赤は緑よりも小さく、青よりも小さく、黄色よりも小さい)。


チェーンの各セグメントは、次のセグメントが加速し始めると減速します。これは、近位セグメントを押しのける遠位セグメントによるものです。子供がプールで父親の肩から飛び降りるところを想像してみてください。子供がジャンプするとき、力はパパのエネルギーを急速に減速させます。これにより、セグメントの安定または一連の減速が起こります。


これは世界で最も効率的なピッチャーのシーケンスですが、すべての成功したピッチャーのシーケンスとは限りません。


近位から遠位(1-2-3-4)は、常に効率の前提条件ですが、有効性の前提条件ではありません。


下記の動画は、2-1-3-4のシーケンスをする、エリートピッチャーの例です。

このピッチャーには、キネマティックシーケンスの効率を向上させる余地がありますか? ⇒ はい。

投手としての「総合効率」は向上するのでしょうか? ⇒ 必ずしも、そうなるとは限らない。


シーケンスの順序を改善することは、一部の選手は身体的に特異性があるため、一貫性とコントロールの観点から、すべての選手にとってうまくいくとは限りません。


ローズ博士がビデオで述べたように、非効率的なシーケンスの投手は、股関節(骨盤)からの貢献に制限がありました。OnBaseUスクリーニングテストの強力な機能の1つは、キネマティックシーケンスの非効率性を身体の制限にリンクする機能です。


たとえば、この投手は、股関節の可動性と、プッシュオフテストのような鼠径部の柔軟性に関連するOnBaseUスクリー二ングテストに失敗しました。プッシュオフテストの目的は、ピッチャーがどれだけうまくマウンドの傾斜を使えるかを評価することです。


テストは2つの部分で行います。

パート1では、ピッチャーは可能な限り横に歩みます(後足を地面に置き、「ゴム」と平行に)。少なくとも5フィート(約150cm)の長さが欲しいと思います、パート2では、ピッチを投げているかのように、後脚でドライブするようにピッチャーに要求します。テストのパート1からパート2までの距離の増加は、少なくとも0.5フィート(靴半側分)でなければなりません。

プッシュオフテストでの、このアスリートのパフォーマンスは、歩幅と伝達における股関節の全体的な貢献に反映されていました。スクリーニングテストでは、鼠径部と股関節の制限(特に後脚の外旋可動域)が原因で、彼が長い歩幅をとることができなくなっている可能性が高いことが示されています。さらに、このピッチャーは、最初のビデオの時よりも、プッシュオフテストの脚で動的垂直力が10%以上減少しました(TPIのパワー評価の垂直ジャンプのパフォーマンスが大幅に向上しているにもかかわらず)。この特定の特性は、技術の乏しさではなく、身体的な制限によるものでした。


ピッチャーが身体的に、何ができるかを評価し、キネマティックシーケンスのような3Dデータを理解することで、「何を」だけでなく「なぜ」の良い把握が出来ます。アスリートのテクニックの背後にある「なぜ」を知っていると、彼らに改善を指導する「方法」を知る可能性がはるかに高くなります。


OnBaseUスクリーンと今後の認定セミナーの詳細については、サイトのセミナーセクションにアクセスしてください。


0コメント

  • 1000 / 1000

藤尾佳史の気まぐれ投稿